朱の間
壁を朱色とした和室です。紅柄(弁柄)ともいい、16世紀にインドのベンガル地方から日本に渡来した色とされています。京都の町家にも同様に朱色をあしらった居間を見かけることができます。この地域でも、昔から和室の壁を鮮やかな朱色に塗る家が多くあります。また、朱色の壁は芸妓の立ち居ふるまいを艶やかににみせる効果があるので、由緒ある茶屋や旅館の座敷にも多く使われています。
群青の間
壁を群青とした寝室です。石川県の武家の邸宅では、群青色に彩られた部屋を見ることができます。もとは兼六園にある13代藩主の前田齊泰が建てた「成巽閣(せいそんかく)」にそのルーツがあります。数百年前、ラピスラズリから作られる群青色はヨーロッパでも限られた芸術家が使う高価な色でしたが、1800年代の初頭にフランスでラピスラズリにそっくりな合成顔料が発明され広まりました。前田齊泰はこの金よりも高価な合成顔料を直接買い付け、成巽閣に用いたのでした。成巽閣の群青の間は前田家にとって大切なお客様だけをもてなす特別な部屋だったそうです。
この群青の間、成巽閣の他には石川県指定文化財である無限庵(山中温泉)、金沢市指定保存建造物である懐華楼(ひがし茶屋街)、金沢市指定文化財「辻家庭園」など多くの由緒ある建物で見ることができます。
寒さの厳しい冬の日を部屋の中で過ごすことの多い金沢。
部屋の壁を鮮やかな色にすること晴れやかな気分になれるようにした昔の人々の工夫が今でも残っているのです。
ぜひ、歴史と情緒あふれる金沢をご堪能ください。そしていつかまたお客様がこの田丸屋をご利用していただけたら幸いです。